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古川友紀

1987年、京都府生まれ。ダンサー。

呼吸・発音・言葉・歌唱から生まれる体の動きを拠り所として、ダンス作品を創っている。2016年に最初のソロ作品「アンプ〜たいないながれうた〜」を公演。この作品は、ひとつの文章を国語ではない読み方で声に出すことを繰り返し、感覚的にピタっとくる節回しを旋律として歌い、そこから生じる体の動きを振りの素材としたもの。翌年、同様の手法でデュオ作品「たいないながれうた」を公演。

大学時代には美術史を専攻し、同時代のアートの創作手法に関心をもつ。2007年、「ケージからの贈り物」展(アートスペース虹)の企画・制作に携わり、実践の現場に入る。その後、コンテンポラリーダンスと出会い、様々な振付家のワークショップや公演に参加。2015年、フランス人振付家レジーヌ・ショピノのクリエイション「Dance Song Music PACIFIKMELTINGPOT」に出演。この舞踊・歌唱・音楽が多彩なハーモニーをもって合わさる作品への参加が、いまの自身の作品制作に大きな影響をもたらしている。

そのほか、美術家森本紀久子とコラボレーションしたギャラリー・パフォーマンスのシリーズや、その場に集まった人たちと即興散歩する「アルコテンポ」の会も行っている。

上演戯曲:
「文(かきことば)」
構成・演出・振付・出演:
古川友紀

 

岸井大輔戯曲『文(かきことば)』

日本語は漢字カナ混じり文であるなど、書き方においてまずその特徴を考えることができる。だからか、日本語の劇は主に文章語でなされてきた。ならば、現代日本語演劇を作るにあたり、口語より文章語を劇とする方法を考えることが必要ではないか。

戯曲『文(かきことば)』の上演にあたって、私はこれと対をなすような主題をもつ『ボルヘス、オラル』を読んでいる。

―― 詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘス曰く、「書物は理解されるためではなく、解釈されるために書かれたのであり、それをひとつの刺激にして読者は自分なりに思考を進めてゆけばよい」と。

 

ボルヘスは、ほぼ盲目の状態で人生の後半生をおくった。その作品は口述筆記によって記され、出版された。先の一文は「書物」というエッセイから引用したものだが、これは彼が大学の講義で語った講演録の文字起こしを、本として編んだものである。

――ボルヘス曰く「古代人は書物というものを、口頭で言われた言葉の代替物と見なしていた」と。

 

そもそも、何かを発するとはどういうことか。

――ボルヘス曰く「詩作もしくは創作と呼んでいるものは、われわれがそれまでに読んだものの忘却と記憶とがひとつにまざり合ったものでしかない」と。

 

上演は戯曲に基づき三部構成で展開する。

(2017.10.1)

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